おまけ

後日談その1 浩之とあかり

 仕事鬼が仕事を行って数日後……

「すまねぇなあかり……親父さんの財布、無くしちまってよ」
「ううん、そんなものいいよ。浩之ちゃんが無事なら……」
「でもあかり、これからどうするんだ?」
「うん、田舎の親戚を頼ろうかなって思うの。経済的にしょうがないから……」

 働き手を失ったのだから、確かにしょうがない。だが……

「あかり、お前はいいのか?」
「…………いいわけないよ。私は浩之ちゃんのそばに……ずっと…これからも……」

 そういって泣きじゃくるあかり。ったくこいつは……

「ったくしゃぁねぇな。俺があかりとあかりの母さんの食い扶ち、稼いでやるよ」
「えっ…えっ? それって……」
「そのかわりだ! 俺の毎日の食事と弁当、手ぇ抜くんじゃないぞ」

 ようやく事態を理解したのか、あかりは涙だらけの満面の笑みを向け言った。

「うん、一生懸命つくるよ」
 

後日談 その2  なにも持たない赤い目の少女

「あの、あれは私です」
「コトネ、そんな事言わなくてもみ〜んなワカってるって!!」
「でも、編集さんはあとがき読むまで判らなかったそうです」
「……」
 
 

後日談 その3 瀬理緒

「心臓って私にあるのでしょうか?」

 その後の彼女の行方を知る者は誰もいない。
 
 

後日談 その4 長瀬

「俺って……なんだったんだろうなぁ……」
 
 

後日談 その5 柏木一家

 夜が明けて朝、家族そろっての朝食の席。

「耕一お兄ちゃん、大丈夫?」

 朝からズタボロの俺を、理由を知らない初音ちゃんは優しく心配してくれる。
 ああっ天女に見える。昨晩が紫鬼と赤鬼なだけにひとしおだ。……なんて言えるわけがない。(汗)

「…………」

 楓ちゃんはあのあと俺を手当てしてくれたのだが、今は無反応を決め込んでいる。
 やはり帰りが遅かったのを少し怒っているようだ。
 すでに瞬間的に朝食は終えていて、今はお茶をすすっている。

「しょうがないよな? 耕一」

 梓、悪かったよ。だからって俺だけ朝食を昨日の晩飯にしなくてもだな……(泣)

「ところで耕一さん」

 千鶴さんは改まった口調で俺に問い掛ける。

「はい、なんですか?」

 俺が返事すると、千鶴さんはとたんに真っ赤になる。なんだ?

「あ……あの、耕一さんはこの家の婿養子なのですよね」
「ええ、もちろんです」

 なぜそんなことを改まって、しかも赤面しながら聞くのだろうか。
 不思議に思う俺に千鶴さんは更に赤面し、話を続ける。

「……ですから、その…………耕一さんはだれの婿なのでしょうか?」
(げっ! それは……)

 答えに窮した俺が皆を見渡すと、全員が俺に向けてきらきらとした目を向けている。
 初音ちゃんも、楓ちゃんも、梓も、千鶴さんも…… 

 俺は……どうすればいいんだぁぁぁぁぁ…………

 再び合掌

(本当に完)

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