その1 開放的にも限度がある

「ん? メールが来ている……」
 そういって恭也さんは取り出した携帯をぎこちない手つきで操ります。
「メール使えたんですか?」
「いえ、なのはにこの機種を進められまして……あ、かーさんからです」
 メールの内容が表示できた恭也さんは内容をみるなり頭を抱えてしまいました。
「あの、どうされたんですか?」
 無言のまま、画面を私に見せる恭也さん。
 そこには桃子さんからのメールで「お勧めラブホテル。桃子さんのイチオシリスト」とかかれていました。


その2 母よ、何故わかる

「ええと、その……」
 なんと言えばいいのか、かなり恥ずかしい。
 恭也さんも困りきった表情でふう、とため息をつきます。
「まったく、年甲斐も無いことを。大体、いつの時代の情報なんだか」
 使う機会なんてなかったろうにとこぼす恭也さんの手の中で、また携帯が鳴ります。
「またメールですか?」
「ええ。かーさんからですが……『失礼ね、バイトの子達の情報よ!!』だそうです」
「あ、あははははー」


その3 誰も気づいてくれなかったようなので

「はい、高町……フィアッセ?」
 どうやら電話をかけてきたのはフィアッセさんのようですが、一体どこからかけてきたんでしょうか……
 というか、海外から携帯電話にかけられるのでしょうか?
「だから、気が早いって。それじゃ」
 そう、呆れたように恭也さんはいうと携帯を切りました。
「あの、なんて?」
「俺たちの子供のソングスクール入学手続きはやっとくから、だそうです」
「そのネタ、三話でやりましたよね……」


その4 逆光源氏計画

「はい、高町……月村か」
 電話は忍さんのようです。
 でも、こんな時に何の用事だろ?
「あのな、そういうことは20年後にでも本人に交渉しろ」
 恭也さん、完全にあきれ返っています。
「忍さん、どうしたんですか?」
「『男の子が生まれたら、お婿にちょーだい』だ、そうです。冗談にもほどがある」
 いえ、忍さん本気かもしれません。


その5 容赦なし

「はい、高町……美由希、どうした?」
 美由希さんからでした。
「やかましい。欲しいのなら自分で作れ」
 それだけ言って恭也さんは電話を切りました。
「まったく……」
「ええと、内容は大体想像がつきます……」
 美由希さん、お弟子さんか弟弟子さんが欲しいって言ったんでしょうね……


 あれ? 私の携帯も……

 ええと、どうしましょうか……

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