「困りましたね……」
 俺と神咲さんは社の前でこの後どうするか相談していた。
「さざなみ寮には戻れそうに無いですね……」
 心底困った様子の神咲さん。
 真雪さんなら本当に締め出しかねない。
 かといって、かーさんのお勧めに乗るのもしゃくだし、ここは……
「神咲さん、うちで休んでください」
「えっ? それは……」
「今までも何度か泊まられた事もありますし、今日はお互い疲れていますから。それに、この服装でホテルなど行ったら通報されかねません」
 そういって、俺は昼間の戦闘であちらこちら破けている服を示す。
 あまり、切りつけられるような事は無かったが、移動する時に何箇所か引っ掛けているし、左腕には撃たれた為にかなり大きめに服が裂けている。
 この風体で巫女服のままの神咲さんとホテルになど行ったら不審者にしか思われないだろう。
「そういえば、そうですね。じゃぁ、お言葉に甘えてそうさせてもらいます」
 話のまとまった俺と神咲さんは高町家へ向かう事にした。
 しかし、それで万事解決とは行かず、家に戻ってから、美由希に神咲さんを自分の部屋に泊めるのを拒否され、神咲さんはかーさんに無理やり俺の部屋で一晩明かす事にされてしまった。
 布団も一組だけしか出されなかったので、仕方なく同衾したのだが、翌朝、妹の事を心配して朝一番にうちを訪れた薫さんに見つかって大騒ぎになってしまった。
 それはまた、別のはなし。

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