『月の裏側』しゃむてぃるさん
扉前。(『志貴 強制3択! どれももれなくデットエンド?』の場面)
「はー、これは相当の混迷具合ですねー」 と、琥珀は傍観者専用席……すなわち、居間の扉前に居た。
「でも、姉さん」 翡翠も琥珀の傍らに居た。
「なあに、翡翠ちゃん」
ちなみに、衣装の作成は1週間前より取りかかってあり、煙突内の掃除を行なったのは昨日である。 「ふふふー、そういう翡翠ちゃんも、ねーっ」
翡翠の服はやはり琥珀が用意したもの。琥珀とおそろいになっている。
「これは……いつものメイド服は着ていたの以外は全部洗濯中だし、着ていたのをずっと着ているわけには……」
翡翠がいくら反論しようとしても、着替えが無くとも「そのままメイド服を着ておく」という選択肢もあった訳であるから、明らかに琥珀の勝利。 「でも、これでは志貴様が……」 なんとか話題をそらそうという訳でもないが、志貴がいよいよ壁際に追い詰められ後が無くなっていた。
「うん、そろそろ入らないとねー。 志貴さんもいよいよ追い詰められてきたみたいだし」
わざわざそれまで待ったのか、と思ったが、聞くのはやめた。 「あ、そうそう、翡翠ちゃん。部屋に入ってからだけど、お料理運ぶのを手伝ってくれる?」
酒とか許可というのは、通常の遠野家においてはまず無いもの。
琥珀が本当に嬉しそうな笑みで扉を開け「サンタメイドさん’sでーす♪」と二人連れて入り。
「……策士」
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