時パロその七
気の回しすぎ
(桜七の章)
「…着替え?」
「うん、制服」
今頃どうして?と首を捻ると初音はクスッと笑った。
「みんなで、梓お姉ちゃんの卒業写真撮ろって。梓お姉ちゃん、自分だけ制服はイヤなんだって。千鶴お姉ちゃんも、一緒の方が良いよね?」
「・・・うん」
私は答えながら千鶴姉さんも制服を着るのかしらと思った。
「制服は後で着替えればいいし。楓お姉ちゃんのお洋服と千鶴お姉ちゃんの制服あたし一緒に用意して来るね」
少し慌て気味の初音の様子に、私は首を傾げた。
「でも千鶴姉さん、社会人だし・・・」
「うん。でも耕一お兄ちゃん、きっと見てみたいと思うし・・・」
確かに耕一さんなら有り得るかもしれない。
やっぱり着たのね
(桜八の章)
私は火照った顔をアルバムで隠し、三人並んだ後ろに立つ。
「もう、なによ。みんなして、姉さんをからかうんじゃありません。」
三人してクスクス笑い正面を向く。
妹達は、私にはセーラー服は似合わないと思っているのね。
でも耕一さんのあの顔は、私にメロメロになってる証拠。
「(ボソ)俺はどういうリアクションしたらいいんだ?」
――――え?
最大の危険
(タオの章四部一章)これだけカワウソ赤い顔を俯かせる梓のぼそっとした返事が聞こえる前に、巫結花はスッと縁側に腰を下ろすとソックスを脱いで白い素足を地に下ろしていた。
「あ、巫結花ちゃん」
「いいの」
慌てて赤い顔を上げ、草履の置いてある上がり框(がまち)に案内しようとした梓を止め、美冬はにっこり笑みを浮かべた。
「大丈夫。巫結花を傷つける物はないわ」
すってーん
「巫結花ちゃん!」
「・・・・・・自分自身以外はね」
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