時パロその一
カワウソ作

 

それは、破局…(陽の章一)

「やっぱり。さっきの女(ひと)がそうですね!」

 潤んだ瞳で、キッと睨み付けた千鶴さんの迫力に押され。

「えっと。そ、その由美子さんが、どうかしたのかな?」

 思わず身を引いた俺は、再び間の抜けた台詞を口にした。

「耕一さん! ああいう可愛い女がいいんですね!」
「なんでわかったの?」

 あまりのするどさに、俺は腰が引けた

 

素直は時に残酷です(陰の章七)

「叔父さんの、代わりだ?」

 耕一は楽しそうに目を細め、深くソファに腰掛け直した。

「耕一お兄ちゃん。梓お姉ちゃんはなんにも考えていなかっただけだから。叱っちゃ可哀想だよ」

初音は隣から腕を掴み、耕一の顔を覗き込む。

初音ぇ、あんたまでぇ…

 

 

これはやっぱりお約束(陽の章十五)

 頬を膨らませ、ぷんと尖らした唇。
 ぴんと跳ねた癖毛が、視線と一緒に睨んだ相手を指し示す。
 まるっきり妖怪アンテナだな。

「そんなわけないでしょ!」

 俺はさらに睨まれた。
 ついでに他の三人のあきれかえった視線が俺に突き刺さった。

 

男ってやつは…(桜七の章)

「耕一さん、どうなんです?」
「い、いません。絶対いない」
「本当。ですね?」

 うんと頷いた耕一さんの真剣な様子に、私は胸をなで下ろしにっこり微笑んだ。

「浮気するんなら、私として下さいね」

 耕一さんはさっきよりも真剣に頷いた。
 やっぱり、安心できない。

 

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