ほんにゃらメイドロボ 第11青函丸さん
 

その1  【 味な(?)新機能 】

                      
セリオ! 車検できるか?」
「はい、浩之さん。車検基準はデータベースに入っておりますし、だいたいの検査項目は私のセンサーで測定できますので、大丈夫だと思います」
「じゃあ、たのむよ」

 オレは志保にもらった車のキーを渡した。
 

 セリオは車を動かしたかと思うと、

「40km表示、対地速度−15%ずれ、要修正」
「光軸、右ライト、下ずれ」
「前輪、左ブレーキパッド、要交換」
「サイドスリップ、基準以内」
「チャコールキャニスタ、異常なし」
「ブローバイガス還元パイプ、異常なし」

 次々とチェックをしていく。
 

 来栖川の中央コンピュータに直結しているセリオのことだけはある。
 多分、車検の項目なんだろうけど、オレには何を調べているのかさっぱりわからない。

 そうやって、車を調べている最中に、ふと、セリオがオレの方に視線を向けたような気がした。
 もし、そうだとしたら、彼女の瞳(?)には、「機械の事なんてわからないぞ」と置いてゆかれて、ボーっと眺めているオレの姿が映っていた事だろう。

 そんな事がありながらも、着々と進めている。

 車の後ろに回り込んだかと思った次の瞬間、セリオは、エンジンがかかっているのに、その華奢な指をマフラーに突っ込でいた。
 その光景を目の当たりにしたオレは、唖然として眺めているだけだった。
 マフラーから抜いたセリオは、
 その指を口にくわえ、こ首をかしげながら、つぶやいた。

「この味なら、CO・HCガス濃度は基準以内ですね」
「は? セリオ! 今、何て言った?」
「はい 『CO・HCガス濃度は基準以内』と申し上げたのですが」
「いや、その前だ」

 妙な雰囲気の沈黙…

「特に何も……」

 ……
 ……
 オレの空耳だったんだろうか?

 セリオの意外な一面を見た気もしたが、車検整備は難無く終わった。
 

 その夜、来栖川電工のユーザーサービス部から、メールが届いていた。
 そこには『セリオのプログラムに、雰囲気を和らげる機能を追加しました』と記されていた。
 
 

その2    マルチのおみみ

 キーン、コーン、カーン、コーン。

 ようやくかったるい授業が終った。クラブにでも顔を出してみるかな?
 などと思いながら、廊下へ出ると、マルチが掃除をしていた。

 「あ! 浩之さん、こんにちはです〜」
 「おう! マルチ、元気そうだな」

 マルチがあいさつしてくれる。全くロボットは思えない出来だ。
 耳の所のアンテナが無ければ、人間と間違えてしまいそうだ。

 「ところで、マルチ。その耳の所のアンテナ、なんでついているんだ?」
 「はい、私にもよくわかりませんが、スタッフの人の話では、なんでも、格闘少女と区別するため、って聞いたのですが……」
 「おい、マルチ、そのスタッフって……」

 続かない……(邪道オチですいません)
 

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