借りたら返しましょう
「劇団長と裏方と一応裏方……かな?」
「劇団長なら話は早い」
それを聞き、ゴロツキ達の中でも一番の風格の男、おそらく頭……が一歩前に出る。
「娘3人預かっていくぞ」
「そんなことは…」
いまにも飛び掛りそうな冬弥を片手で制し、英二は返答する。
「利息はどのくらいで?」
「………………」
「………………」
「……本気? 兄さん」
「やだなあ、理奈。 冗談に決まっているだろう?」
冗談に聞こえなかった、とは誰もつっこまなかった……
置き場は同じだけど……
返事を待つより早く瑠璃子は反転して駆け出し、今歩いてきた道を戻り始めた。
祐介達も後を追って走り出す。
(しかし瑠璃子さんはどこに行こうというのだろうか……)
走っていって、角を曲がった。と思ったら……
ごちーーーん!
誰かとぶつかった。
尻餅を付いて赤くなった額を押さえ、瑠璃子はつぶやく。
「うー、いたいよー。 目がちかちかするよー」
「瑠璃子さん、それキャラ違う……」
「頭からちりちりが漏れるよー」
「って、それ危ない!」
「冗談だけどね」
「……………………」
ちょっとだけ
(祐介ちゃん、お兄ちゃん、やりすぎたらだめだよ……)
瑠璃子のやさしい電波の粒が、祐介と拓也の発する電波の奔流をするりと通りぬけ、更に心の壁を素通りし脳の奥に届く。
(うん、わかったよ瑠璃子さん)
(しょうがないな……)
(でも瑠璃子さん……もう一寸壊していい?)
(だめだよ……)
では何故知っている青年
祐介と拓也は改めてゴロツキ達全員の脳に命令を出す。
「うぁぁぁぁっ!ややや野郎ども、ひきひき引き上げだげだだ」
「おおおおおおうおう」
がくがくと不恰好な盆踊りのように動きつつ、ゴロツキ達は外へ退場していった。
「月〜がぁ〜♪」
「英二さん、それ時代が後ですけど」
「いんすぴれぇしょんだ、青年」
「真剣な顔で誤魔化さないで下さい……」
風車の瑞穂
「じゃぁ、引き続き調査を頼めるかな。瑞穂ちゃん」
「祐介さん。 は、はい。では……」
瑞穂は少し顔を赤くしてまた天井裏へ消えていった。そして……
「きゃぁっ! ねずみ〜」
「「…………(汗)」」
「きゃあっ!ゴキブリ〜」
「「………………(汗)」」
「きゃあっ! 穴開けちゃった〜」
「「……………………(汗)」」
「……ところで、なんでみずぴーが忍びなの?」
「気配を察知されないということに関しては、瑞穂ちゃんは秀でているからね」
「それもあるだろうが、おそらく作者の配役の都合だろうな」
しくしくしくしく…………×2
反論の余地無し
「はっはっは、弥生さん。 立ち聞きは良くないな」
「……彼らをここに居させること、即ち我々がここにいることは多大な危険を伴うはずですが」
「うん。 まぁ、そうだな」
「誰を狙っているのですか?」
「いやぁ『誰を』……って青年よりは節操あると思うけど」
「そうですね」
英二さん、弥生さん……(汗)
英二ってこんなキャラだっけ?(汗)
英二はそれを見て、眼鏡を掛け直し雰囲気を一変させ冬弥に質問する。
「それでだ、青年。 汚名挽回の機会は要るかね」
「はい?」
一瞬言葉の意味を理解しかねて呆けた冬弥であったが、理解して身を乗り出して答える。
「汚名は返上、挽回は名誉ですけど……」
「…………いんすぴれぇしょんだ、青年」
「また真剣な顔で誤魔化さないで下さいよ……」
刺さるほど投げられないと思います
「しかし、緒方さん。 機会というのは……」
「犯人は誰か解っているからな。 まぁそういうことだ」
ひゅるるるる……
その時、突然どこからか風車が飛んでくる。 その風車は…
とすっ
瑠璃子の頭に刺さった。
「あ、風車……ってうわーーっ!!」
「るるるる瑠璃子ちゃん、ごめんなさい!」
「瑠璃子さん大丈夫?!」
「くすくす、全然大丈夫だよ」
「いや、全然大丈夫なのもそれはそれで……(汗)」
なぜにあなたがそう言うの?(カワウソ作)
「最果藩重臣 橋本平助。 娘たちを拉致したんだよね。……ちょっとわけてくれないかな?」
「る、瑠璃子、それば僕が言おうと……ってしまった!」
「……お兄ちゃん」
「瑠璃子、これは違うんだ。違うんだ。瑠璃子、るりこ、ルリコルリコルリコルリコルリコル……」
「ああ、月島先輩。思っても言ってはいけないことを」
「君もだよ、祐介ちゃん」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ちりちりちりちりちりちりちりちり……
ご一行、周辺を巻き込んで崩壊。
やっぱりこのネタ
「直後……ですか?」
弥生さんは一寸だけ怪訝な表情をする。
「あの……」
「やはり七瀬さんが……」
「え? 彰が?」
「裸でしたし……」
「だ、誰が?」
「いえ、なんでもありません。 失礼します」
一体、彰が何をしたってんだああああっ?!
「僕はあの夜を忘れないよ、冬弥……」