冬弥の目覚まし時計
 
 

何となく由綺(由綺)

 ……カチッ

『冬弥君、お早うございます』

 ん……、そうか、由綺に目覚ましに声入れてもらったんだっけ。

『ねえ、弥生さん、これでいいかな?』
『…………』
『うん、そうだよね。冬弥君ならこれで起きてくれるもんね』
『あ、あれ?』
『録音止めるのってどこだっけ?』
 
 かちゃがちゃ

『…………』
『時間が来たら止まるの?そっか、そんなに長く入れられないんだ』
『…………』
『え?あ、あ、全部入っちゃっているんだ。あはははは……』
『は、はいっ、森川由綺でしたっ。ではっ』

 入れ直せばいいのに。何やっているんだか。
 
 
 
 

天然道化師、ここに極まる(理奈)

 ……カチッ

『お早う冬弥君。そろそろ起きる時間よ』

 理奈ちゃんの声。
 いいなぁ、澄んでいて、綺麗で、上品で……

『ぷっ、あははははははははははははははははははははははははははははは』

 ……え?

『ご、ごめんなさい。冬弥君の寝ぼけた顔想像したら、つい……うふふふふふ』

 目覚ましでまで笑われるか、俺。
 起きる気なくなっちゃうよ。
 
 
 

必要最低限の要件は満たしておりますが(弥生)

 ……カチッ

『藤井さん、起きて下さい』

 これだけ?

『他に何か?』

 ……いえ。
 
 
 

押しの弱さは天下一(美咲)

 ……カチッ

『あの……冬弥くん……』
『起きたほうが…いいと思うけど……』
『その…でも…疲れているなら……それも良いかな……なんて……』

 美咲さん、優しすぎだってば……
 
 
 

グッドモーニング・コンフュージョン(はるか)

 ……カチッ

『冬弥、時間』
『……かもしれないよ』
『あ。まだ大丈夫だ』
『あれ?今日の講義って一限からあったっけ?』

 だあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!どっちだぁ!!
 
 
 

一撃必殺(マナ)

『藤井さん、朝よ』
「ん……」
『いくら暇人でも、起きないといけないんでしょ?』
「うーん……」
『……………………』

 がこっ!!

「おおおおおっ!!」

 どういう仕掛の目覚ましなんだよ?(涙目)


 

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