愛の電波劇場 みさき先輩乱入編   しゃむてぃるさん
 
 

繭編のみさき先輩

 
 繭とクリスマスの夜を過ごすことにしたのだが、高級レストランは繭にはやはり合わなかったようだ。というわけで、ファーストフード店にきたのだが……

「さあ、繭。いくらでも頼め」
「えっと…てりやきのセットふたつに…うんと…もうひとつてりやきに…もうひとつてりやきに……ぽてとの大きいのに…もうひとつてりやきに…あと…もうひとつてりやきに…なげっとも欲しい…あと、もうひとつてりやき欲しい…あと…もうひとつてりやき……あともうひとつてりやきあともうひとつてりやきあともうひとつてりやきアトモウヒトツテリヤキアトモウヒトツテリヤキアト…」

 やばい、受信している! そう察知した俺はすかさず繭の口を押さえる。

「はい、ご注文を繰り返します。てりやきバーガーセット2つにてりやきバーガーが11個と、ポテトの大とナゲットがおひとつずつ。以上でよろしいですね」
「え……いや、あの……」
「以上でよろしいですね」
「いえ、そのやっぱり…」
「以上でよろしいですねいじょうでよろしいですねイジョウデヨロシイデスネイジョウデ……」
「わかった! 買う! 買うから!」

 こうして、なんだか異常な買わされかたをした俺であった。
 とりあえず二人とも店内のテーブル席につく。早速というか既にかぶりついている繭。
 そうして数分後……

「ほえ〜…みゅ〜。たべきれないの……」
「やれやれ、これだけはいくら繭でも無理だな。誰かに…ってあの人なら……」

 そのころ、学校……

「てりやきバーガーたくさん、楽しみだよ〜」
 

 

澪編のみさき先輩(笑)電波なし
 

 『喋れないけど、いっぱい伝えたいの』という理由で演劇部を一生懸命頑張る澪。
 そんな澪をすこしでも近くで手伝いたくて、演劇部に入部しようと思った。
 演劇部の部室に申し込みに行った俺を迎えたのは……

「あの、入部したいんですけど」
「浩平君?」
「みさき先輩? 先輩って演劇部だったの?」
「ううん、ちがうよ。ここの部長が食事代払えないなら体で払え、って拘束されているんだよ」
「ひどいやつだな、そいつは」
「うん、そうなんだよ」
「ちょっと、人のことをとんでもない悪人みたいに言わないでくれる?」

 そういって出てきたのはみさき先輩の親友、深山先輩だ。ということは演劇部の部長だったのか。

「みさき、あんたが昼食代無いからっていうから私が立て替えたんじゃない。返してって言ったらお金が無いっていうから、アルバイトさせてんじゃないの」
「……本当なの、みさき先輩」
「うん、そうだよ」
 
 みさき先輩さっきのセリフは……まあいい、事情は理解できた。それでだ。

「それで、みさき先輩はいくら食べたの?」
「うん、月見うどん3杯と天丼4杯、カツ丼3杯、A定食3人前、B定食2人前、天ぷらそば1杯、さらに皿うどん2皿とカツカレー3皿しか食べてないのに、3日も手伝わされているんだよ〜」
「みさき……それだけ食べれば十分でしょ」
「雪ちゃん、ほんとはあとカツカレー5皿たべたかったんだよ」

 罪状認否を終えて、俺の判決は……

「いくらでもこき使ってください」
「ひどいよ〜浩平くん」
「当然ね……」
 
 

澪編のやっぱりみさき先輩(爆)
 

 演劇部の部活に出る為の移動中、みさき先輩に出会った……

「よう、みさき先輩」
「浩平君。あっそうだ、さっきこんな物貰ったんだよ」

 そう言ってパンフレットらしいものを俺に手渡す。読め、ということか。

「えーっと……演劇部定期講演会、だそうだ」
「そう、楽しみだよ〜。で、いつ?」
「うーん、そこまで書いてないな。澪が演劇部員だから聞いてみたらどうだ?」

 言ってからしまったと思った。喋れない澪が見えないみさき先輩にどうやって伝える?
 しかし、みさき先輩はにっこりと……

「うん、今聞いてみるよ」

 ちりちりちりちりちりちりちりちりちり・・・

 PHSかいっ!!

  

澪編のそれでもみさき先輩(もうええっちゅーに)

 
 今度の演劇部の講演会、澪はなんと主役をもらった。
 演劇部部長、すなわち深山先輩が澪の頑張りを評価したのだろう。だが大きな問題が……

「澪、お前セリフどうするんだ?」

 ごく当たり前の疑問ではあるが澪は喋れない、だからどうするのだろうか?

『セリフ無いの』

 そうか、なるほど。
 恐らく深山先輩が澪の為に、セリフの無い役とそれに合うシナリオを作成させたのだろう。

「そうか、よかったな。ところでどんな話しなんだ?」

 澪はうんうんとうれしそうにうなずき、台本らしきものを差し出す。どれどれ……

「舞台は某高校。春、出会いの季節。そして出会う2人……か。わりとオードソックスだな。役は……主役 高校3年の少女、これが澪だな」

 うん……とちょっと恥ずかしそうにうなずく。ううっ、かわいいやつ。(爆)

作者の電波が乱入しております

「ええと、少女は非常に声が小さい…ってなるほど、ならばセリフ無しでも大丈夫という訳だな。そして、大財閥の令嬢で……へえ澪がねぇ。送り迎えの執事がついている、まぁ標準装備だな。そしてオカルトに興味があり…なんか変なやつだな、そして放課後魔術の実験を行う………って」

 これ、違うせかいの高校のセンパイでないかい?
 

真相へ

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
追加 シナリオの真相
 

 (これ、違うせかいの高校のセンパイでないかい?)
 驚愕する俺、だから何故知ってる……のは毎度だから良いとしてだ。

いいのか?ほんとうにいいのか?

「この電波を受信…いやもとい、このシナリオを書いたのは一体誰なんだ……」

 そのころ、演劇部部室……

「みさき、釈放よ」
「うー、長かったよ〜」
「もう二度とくるんじゃねえぞ」
「雪ちゃん、お世話になりやした」

 くすっくすっと笑う二人。

「外部委託部員、ご苦労様。ちゃんと昼食代分働いたわね。しかしあの台本、いいの書いたわね〜セリフ無しの娘っていう課題を完璧に出来るなんて……なにか参考にした物でもあるの?」
「うん、そうだと思うよ」
「思うよって……ま、企業秘密ってことね。まあいいわ」
「うん。じゃあね、ゆきちゃん」

 そして演劇部部室を離れるみさき先輩だった。


 

パロ目次へ