千鶴さんの手作り弁当をもらった。
カラスぐらいなら、もしかして耐えられるかも・・・
どう処分しようか迷った俺は、とりあえず屋上へと足を運んだ。
屋上に行くと芹香さんと楓ちゃんがいた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・」(コク)
「・・・・・?」
「・・」(ポッ)
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・!」(フルフル)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・」(キッ)
何となく、寒気がする。
ちりちりと首筋を襲う殺気めいた物を感じて、俺は即座にそこを後にした。
「・・・・・・・・・・!」(バチバチ)
ああっ、頭に何かが入ってくる。だ、誰か助けて・・・
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昼休み、屋上で僕と瑠璃子さんはひなたぼっこをしていた。
何となく、下の階を見ていると耕一さんと千鶴さんがみえる。
千鶴さんは耕一さんに何かをあげてるようだ。
うーん、耕一さんなんともいえない顔してるなー。
「来るよ」
瑠璃子さんがつぶやく。
まもなく屋上の扉が開いた音がした。
振り向くと耕一さんが姿を現した。
その向こうには芹香さんと楓ちゃんがいる。いつの間にいたんだろう。
そうか、瑠璃子さんはあの二人と電波を交信してたんだ。
と、その時急に、耕一さんは屋上から去ろうとした。
瞬間、頭を抱えてうずくまってしまった。強烈な電波を食らった証拠だ。
「ねえ、なにがあったの?」
僕は、瑠璃子さんに聞かずにはいられなかった。
「芹香ちゃん、『この人は楓さんのお知り合いですか?』って楓ちゃんに聞いたの」
うん
「楓ちゃん、『そうです』ってうなずいたの」
そうだろうな
「芹香ちゃん、『恋人ですか?』ってまた聞いたの」
えっ
「楓ちゃん、『はい』って頬を真っ赤にしたの」
ええっ、そうだったの?知らなかった
「そしたら芹香ちゃん、『でも浮気してますよ』って言ったの」
げげっ
「『そんなことありません!』って楓ちゃん首を横に振ったの」
そりゃそうだろうな
「でも芹香ちゃん、『先程、髪の長い綺麗な女性からお弁当を頂いていました』って言ったの」
・・・・・
「それで楓ちゃん、『耕一さん』ってにらんだの」
にらんだようには見えなかったけど
「そしたら耕一ちゃん、逃げようとしたの」
わかるなあ、その気持ち
「だから楓ちゃん、『耕一さん、許しません!』って電波浴びせたの」
自業自得・・・かな
でも、なんで耕一さんが千鶴さんに弁当もらったの芹香さんが知ってるんだろ?
「クスクス、私が芹香ちゃんに教えてあげたから・・・」
「私が、電波で呼びかけたの」
なんでそんなことしたの?
「ふふっ、長瀬ちゃん、人の不幸って愉しいよね」
・・・・・・ああ、毒電波が・・・